2008年06月21日

ヒラリー敗退5つの理由

今年新年、英経済紙フィナンシャル・タイムズは2008年の予想を発表している。米大統領選については、11月の大統領選でヒラリー・クリントン上院議員が当選に「最も近い」とみており、「現政権があまりにも不人気なので、番狂わせがない限り民主党候補が選挙に勝つだろう」と予測していた。
最も米大統領に近い候補者として自他ともに認めるヒラリーであったが、序盤のつまずきから史上まれにみる激戦となった民主党の指名争いも7日のヒラリー撤退宣言でようやく決着がついた。敗退という言葉が辞書になかったヒラリー陣営の何が悪かったのか?勝ったオバマも多くの間違いを起こし、負けたクリントンも多くの正しいことをした。何が勝敗を分けたのか、オバマの勝因とヒラリーの敗因を5つずつ挙げたNewsweek(6/18号)『オバマとクリントン勝負の分れ目』から参照させていただく。。


■ヒラリー敗退の五つの理由
@有権者を軽視
 オバマと違ってヒラリーは有権者をなめていた。ヒラリーは07年の出馬表明で『勝つために出た』と宣言。その選挙運動には、自分が選ばれるのが当然だという自信が見え隠れしていた。これは有権者に失礼だ。

Aお粗末な戦略
 党員集会が開かれた州で支持者の動員に動かなかったことも、現代政治史に残る最悪の決定だ。だが、それも戦略の大きな過ちの一部に過ぎない。ヒラリー陣営は、オバマは2月のスーパーチュースデーで脱落すると想定していた。それは主出馬を検討した06年頃には正しかったかもしれないが、07年前半にはもう、ネットで献金を集めるオバマはヒラリーよりも多額の資金を調達できることが明らかになっていた。オバマは強力なライバルであり続けたわけだ。オバマが対立候補として残った時にそなえ、第二の戦略を練る時間はたっぷりあった。ところが不測の事態に備える基本的な対策は取られなかった。また、経験を売りにする戦略から、中流家庭の出であることを強調する戦略への路線変更が遅れたのも痛かった。

B人選ミス
 間違った人選が間違った戦略を生んだ。陣営の戦略責任者マーク・ペンは、アメリカは多様な有権者層の集まりだと自著で説いている。国民が互いに手をつなぎたいと強く願っている時代には、まるでそぐわない分析だ。96年の夫ビルの再選に選挙顧問として貢献したマークは、ヒラリーがまるで再選に挑む現職大統領であるかのような戦略を取ったのは当然の帰結かもしれない。人選ミスはほかにもあった。選対本部長だったパティ・ドイルは能力不足。広報担当のハワード・ウオフソンは、記者に無礼な態度を取ったり、その上司に苦情を持ち込めば記事での扱いが良くなると信じていた。彼の部下も同様で、こうした脅し戦略は、長期的に見ればうまくいかない。記者の反感を買うだけだった。
人選ミスは任命したヒラリーの責任だ。人を見る目がなく、過剰に忠誠心を求め、悪い知らせには怒りで応じる。だからこそ陣営刷新の必要性をなかなか認識できなかった。80年大統領選でレーガンがやったように早めに幹部を入れ替えていれば早期に選挙戦を立て直すことができたかもしれない。

C傲慢さ
 速い段階での軌道修正に失敗し、寄付してくれるはずの支持者を遠ざけ、メディアを敵に回し、特別代議員お獲得につまづいたのはなぜか。ヒラリーの選挙運動には、傲慢な姿勢が見え隠れしていたからだ。陣営スタッフはヒラリーの威信をかさに着て、言う事を聞かない相手には高圧的な態度を取った。選挙戦の序盤、メディアはヒラリーの優位を伝えた。だが、みんな自ら進んでそうしたというよりは、強制されたような気分で、不快感ばかりが残った。後半になってこうした人々の力が本当に必要になったときには、彼女の周りには誰もいなかった。

D勝手な思い込み
 クリントン夫婦は候補者指名を当然の権利と考えていた。オバマへの攻撃や、女性候補ゆえの差別への不満など繰り返す中で、『候補指名は私のもの』と考えているような印象を世間に与えた。選挙戦の終盤、夫婦は自己愛の殻に閉じこもった。親しい友人であっても、撤退を勧めるこことができなかった。二度と口をきいてもらえないことが分かっていたからだ。最後の予備選が終わった翌日、最も熱心な支持者ですらそばにいてくれないことに、ヒラリーは驚きを隠せなかった。指名獲得は当然との思い上がりこそが、党内での支持を失わせ、彼女の運命を決めてしまった。


■オバマが勝った五つの要因
@メッセージ
 オバマがうたう『変化』は、ヒラリーが売りにする『経験』よりもメッセージとして優れていた。世論調査で大多数の国民が「アメリカは間違った道を歩んでいる」と回答しているなか、今回の大統領選は、共和党候補に指名が確定したマケインも認める通り『変化の選挙』なのだ。オバマの希望のメッセージが全ての人に受け入れられたわけではないが、それでもビル・クリントン政権を懐かしむ気持ちに訴えるよりは効果的であった。

A組織
 組織のあり方を決めるのはトップだ。魚は頭から腐るが、どの方向に進むか決めるのも頭だ。オバマは指名を確実にした6月3日夜、デービット・プルーフ選対本部長に強い謝意を示したことからは、オバマが年齢を問わず、優れたまとめ役を探していた(そして見つけ出した)ことがうかがえる。オバマは選挙資金集めから特別代議員の支持獲得に至るまで、あらゆる面で卓越した計算力と組織力を発揮した。いずれも大統領に求められる資質だ。いくつかの予備選では準備不足の感が否めなかったが、ほとんどの場合は日程も事前の準備も万全だった。20ポイント以上の大差で勝利を収めた州が、ヒラリーの5州に対し、オバマは21州にのぼったことを考えれば、組織の力は明らかだ。

B冷静沈着
 陣営の結束が乱れなかった大きな理由の一つは、スタッフ同士が節度ある関係を保つよう、周知徹底していたことにある。オバマ自身、節度を失わない冷静沈着な人柄で知られる。政治活動において冷静さは役に立つ。スタイルやセックスアピールとも関係してくるからだ。オバマはたたかれても冷静さを保てることを示した。一度でもカッとなっていたら、指名候補への道は断たれていただろう。

C率直さ
 少なくとも、オバマはほらふきではない。嘘をついたり、事実を都合よく誇張することはしない。有権者は、オバマが大風呂敷を拡げることがあっても、嘘だけはつかないと感じている。政治家としては大きな強みだ。

D有権者を尊重
 オバマが有権者を尊重し、信頼していることは、ガソリン税の問題を見れば一目瞭然だ。彼はマケインやヒラリーとは異なり、不評覚悟で税の一時凍結に反対した。ガソリン高騰に苦しむドライバーを救う措置に異を唱えたのは勇気ある行動だった。やや込み入った議論と、有権者の知性に対する相当な信頼が必要だった。だが、決断が功を奏し、勢いを盛り返した。オバマが心の師とあおぐライト牧師の白人侮辱発言問題でも対応は遅れたが、記者会見を開き、かっての師との完全な決別を発表し、好印象を残した。ライト牧師の件でまずい対応をしていたら、オバマは一巻の終わりだっただろう。

※以上、Newsweek(6/18号)『オバマとクリントン勝負の分れ目』を引用


断片的な一片のニュースを読み繋いで楽しんできた米民主党候補者指名選挙ーどちらかというと女性の挑戦を応援しながらも、選挙戦とともに大きくなっていくオバマの存在が気になってきたが、こうやってまとめたものを読むと、なんとなくそうかと腑に落ちる点もある。勝敗は候補者にとって天国と地獄ほどの違いとなって返ってくるのだろうが、それにしても米国は良い候補者を持っている。翻って日本、もうぐちゃぐちゃな政略の場と化した国会に始まり、北朝鮮問題でテロ国家指定を外す米国に何も自国の主張ができないかの外交、あげくは、領海侵犯の他国船長にお詫びにいったとか、国民拉致を守り攻めることのできない国家なんてほんとにどうかしているのじゃないかな?負けた候補者を日本の総理大臣にリースしてくださいって笑うに笑えないジョークかもしれない。
さて破れたヒラリー、最後の演説で『つまづいたら自分を信じ、打ちのめされたらすぐに立ち上がりなさい』『人生は短い。もしあの時、と立ち止まらないで』と最後まで支援を贈った有権者に力強く、前へ進めと語った。夢破れた候補者は選挙戦の後、猛烈な精神的落ち込みに襲われるそうだが、打たれ強く粘り強いヒラリーは上のニュースに見られるように、はやくもどこか次に向けて歩き始めたのだろうか。



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posted by あすなろ at 17:07| 東京 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政経 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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