AFPBBNewsを見ていると、
サウジアラビアの宗教警察がイヌ・ネコ禁止令を出したニュースがアクセストップ10の1位になっているのが目についた。ペットを使って「女性を誘惑し、家族の心を乱す」ことが一部の男性の間で流行しているため、首都リヤドにおけるペット用イヌ・ネコの販売および公の場での散歩を禁止するそうだ。
余りにも日本人の日常感覚と乖離した禁止令についついクリックして見たくなる誘惑をしてアクセストップ1を生み出しているいるのだろうか?かくいう小生もその一人。北京五輪に湧くお隣の中国では経済成長を背景にペットブームが出現しているそうだが、国が同じ金を持っても宗教は、かくもお国柄事情を変えてしまう見本のようなものか。。
ところで、先月だかに原油相場の高騰問題を協議するために緊急開催された産油国・消費国会合で、サウジアラビアは市場に根強い産油国側の供給力不足に対する懸念を解消し、投機マネーをけん制する狙いもこめて、原油増産方針を打ち出したことを記憶する。抑止効果の不透明性が喧伝される中、OPEC盟主国としての存在感を示していたのが印象に残っている。。
そのサウジアラビアのアブドラ国王は、3年前に即位して以来、宗教界の影響力を削ぐために、進歩主義的な改革をゆっくり押し進めているらしい。ワッハーブ派の原理主義的思想は、国内外のテロの温床になっているとしばしば批判されてきたし、経済と産業の改革を妨げているという批判も強い。国王にとって、経済の近代化は避けて通れない課題なのだ。
現在、ジッダ郊外に国王が私財を投じて建設中の『アブドラ国王科学技術大学(KAUST)』は、その意味から産業推進の原動力を担おうとする施策だ。男子学生と女子学生が一緒に授業を受け、女性教授が教壇にたつ。カリキュラムは宗教界でなく、欧米のコンサルタントに任せる。既に、オックスフォード大学や米国MIT、カリフォルニア工科大学から客員教授を招く事がきまっており、更にスタンフォード大学、テキサスA&M大学と交換留学協定も結んだそうだ。
大学の運営を任されたアラムコの会長(石油鉱物資源相)は、「社会全体の変革への一歩になるだろう。キャンパスは自由な空間になる。自由を満喫しながら、考えたり、新しいものを生み出したりできる」と期待する。しかし、巨額の資金と国王のお墨付きがあっても、成功が約束されている訳ではない。現に60年代に技術者と科学者を育成する目的で設立されたファハド前国王・石油鉱物大学は、保守派の反発にあって77年に宗教界の管理下におかれてからは、欧米型教育機関を狙った大学の進歩的要素は捨て去られ、宗教界の授業が必修になった経緯を持つらしい。
この国でワッハーブ派の宗教指導者を敵に回すと勝ち目は乏しいかもしれない。なにしろ原理主義的教育システムが保守志向の強い若者を量産している上に、80歳代半ばのアブドラ国王の次の国王に進歩派の王族が即位する保証はない。だからこそ、アブドラ国王は国の最大の財産であるアラムコ(金の卵を産むガチョウ)を危機にさらす大きな賭けに打って出たとも考えられる。新大学の開設は、アブドラ国王にとって、進歩主義を国に定着させ、国の未来を救うラストチャンスなのかもしれない。
(Newsweek 08/6/18号 サウジ「脱宗教」大学の挑戦を参照)
中国の開放経済特区もアラムコもある意味、国内に開いた近代化出島のようなものだが、宗教も節操も捨て去ったかの中国の進展状況に対し、アラムコが荒婿となってその子供を増殖できない宗教的縛りによる違いが際立って見えるような。。(閑話)
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